人間性あってこその成長

 

 

目先の結果や損得よりも、過程を大切に

 

明日の数学のテストが100点でも高校に行けると決まるわけではありません。レベルの高い大学を卒業すれば幸せになれるわけでもありません。

 

良い点数を取ることもレベルの高い大学に行くことも素晴らしいことです。ですが成績や点数など目先のことだけに目が行き、一喜一憂することに大きな意味があるでしょうか。そこは最終的な目的ではないと思います。最終的な目的にたどり着くための大切な通過地点ではないでしょうか。通過地点とは立ち止まり評価して反省して次に活かしていくきっかけとするべきではないでしょうか。

 

20年近く教育現場で働かせていただいていますが、形だけを取り繕うことを学び、結果さえ良ければいい、自分さえ良ければいい、など目先の利益ばかり考えてしまう子どもたちが多くなったと感じています。

 

目先の結果や損得ではなく、結果を求めて試行錯誤して努力する『過程』中に成長があるのではないでしょうか?充実感や幸福感もその中にあるのではないでしょうか?

 

 

 


幸せとは?

 

とても便利な世の中になりました。ですが子どもたちが考えたり、体感したりする機会が減っていると感じます。必要な物がすぐに手に入り、いろいろなものに興味を持つ必要性がなくなっています。人の気持ちや思いを考える必要もなくなってきています。想像し、イメージを膨らませる力、その場の雰囲気や相手の気持ちを読み取る力、自分で考える力、決断する力、行動する力が育ちにくい環境です。

 

学校では教員が熱い指導をしづらい環境になってきていると感じます。何でも教師のせい、学校のせい…。子どもたちは最終的には何もしなくても許され、何かあったら誰かのせいにし、黙っていても大人が全部やってくれることを学んでしまっていることがとても多い印象です。

 

失敗を避け、困難を避け、都合の悪いことがあったら誰かのせい。楽をして生きることがいいことであると勘違いしているケースが多いと思います。脳科学的に考えると残念ながらそこに成長はありませんし、本当の意味での充実感や幸福感も感じることはできません。本当の幸せとは、目的に向かって懸命に努力し成長する過程の中から感じるものではないでしょうか。

 

まずは当たり前のことを当たり前にできるように。挨拶をすること、時間を守ること、約束を守ること、人や物を大切にすること…。当たり前のことを当たり前に積み重ねること。これが人間性の向上だけでなく学力向上へもつながるものだと考えています。

 

 

 

 

人を大切にすること

 

『私はこんなにがんばっているのに!』『自分はこういう人間だ。理解してほしい。』そんな子が多くいます。頑張っているのはその通りでしょう。こちらも理解してあげるように努力しなければならないでしょう。ですが、何か違うのではないでしょうか。

 

相手に自分を理解してほしかったらまずは相手のことを理解することに力を注ぐべきです。いろいろな場面で、いつも自分が自分が、といつでも自分が物語の中心になってしまい、うまくいかないケースを多く見てきました。

 

相手に大切にされていると感じられるからこそ、相手のことをわかってあげたいという気持ちになります。ミラーの法則です。自分さえ良ければいいのではありません。他人を大切にするからこそあなたが大切にされるようになるのです。

 

自分の人間性が相手との関係を作り、今ある環境を生み出している、ということを常に指導しています。だからこそ人や環境のせいにすることがなくなってきます。人や環境のせいにして人を傷つけたり、自分の成長を阻害しても誰も幸せになりませんから。

 

 

 

 

努力を楽しむために

 

達成する物事の大きさは、『思い』と『努力』の大きさに比例します。達成できるかどうかは自分の努力してきた過程が決めるものです。結果に偶然はありません。起こるべくして起こるものです。

 

努力することだけ考えるとつらいことと考えてしまいがちです。ですが、脳は訓練すれば努力することを楽しむことができるようになります。子どもたちが何時間もゲームに集中することができるのは『好きだから』『興味があるから』です。私が筋力トレーニングをし、筋肉痛になっても楽しいと感じられるのは『好きだから』『興味があるから』です。

 

日々、当たり前のことを当たり前にやることを丁寧に積み重ねることによって『思い』が高まります。例えば、心を込めて挨拶したら心を込めて返事をしてくれた。すると『嬉しい』という思いが生まれます。心を込めて挨拶をしたのに無視された。すると『嫌だな』という思いが生まれます。それが『思い』です。このような当たり前のことを一生懸命にこなすことによって『思い』が高まります。そしてこの『思い』の積み重ねが努力の原動力となります。

 

『しなければいけない』のではなく、『したい』『なりたい』と考えるから目的や目標が生まれ、その達成のために努力できるようになります。

 

失敗するからこそ考えるようになり、試行錯誤する力がつきます。試行錯誤する力は将来自立して生きていくための大きな力となります。失敗から困難を乗り越える力や理不尽にも負けない強い心が育ちます。『思い』があるからこそ強くなれます。

 

『自分で考えて決断して行動する力』は責任感を生み出します。責任感があるからこそ努力することに充実感を覚え、成長することに幸福感を得られるようになります。

 

責任感、努力の大切さ、充実感、幸福感…。口で言っただけ、教科書で読んだだけではわかりません。勘のいい子はわかるかもしれませんが表面だけの形だけの理解だと思います。練習を重ね、失敗を重ね、成功を重ねるという多くの体感を通して学んでいくものです。

 

なんとなく大人になったら自然と勝手にいろいろな力がつく、大人になったら自動的にできるようになる、などということはありません。どんなことでも練習し、鍛えるからこそできるようになるものです。

 

 

 

『積み重ね』を自分の力で

 

なるべく子どもには自分と同じようなつらい思いをさせたくない、やってあげよう、という親心、とてもよくわかります。ですが、あなたがそれを努力を重ねて乗り越えてきたからこそ今立派にあなたがそこにいるのです。

 

やってあげることは簡単です。教室でもその場をスムースに運営するだけなら、やってあげたほうがこちらも楽ですし、生徒さんも楽だと思います。ですが、そこに成長はありません。生徒さんは自分が頑張らなくても誰かが何とかしてくれる、ということを学んでいるだけです。

 

一度にものすごい力をつける魔法も薬もありません。力をつけるのは『積み重ね』です。小さなことを大切に積み重ねることによって本当の力を身につけることができます。最終的には誰も物理的な力になってあげることはできません。自分次第なのです。だから自分自身を鍛える必要があるのです。やってあげることではなく、大切なのは自分の力を鍛え、丁寧に努力を『積み重ね』ることなのです。『自分で考え決断し行動する』ことを繰り返していくことなのです。

 

 

 

 

みどりの寺子屋


みどりの寺子屋は、誰かにやってもらうことを学ぶのではなく、自分の力でやり遂げる力をつける方法を学ぶところです。自分の力を高め、自分の力で幸せをつかむ力を身につける場所です。

 

形だけ、表面だけのその場しのぎの方法は指導しません。生徒さんが自分と見つめあい、自分を受け入れ、自分の力を引き出すこと。心に働きかける指導を心がけています。

 

たくさん努力を『積み重ね』てきたのにうまくいかず、悔しくて悔しくてどうにも涙が止まらならなくなる…。そんなときこそ支えてあげましょう。『積み重ね』てきた努力を評価し、その失敗を成功に変えるための方法を一緒に考えてあげましょう。つらい練習をたくさん『積み重ね』乗り越えて成功し、嬉しさで体が震えて涙があふれてくる…。そんなときこそ結果だけではなく、『積み重ね』てきた努力を評価し、正しい努力をすれば必ず達成できることを教えてあげましょう。

  

 人間は年齢に関係なく成長し続けることができる素晴らしい生き物です。目的や目標があるからこそいきいきと生きていくことができるのです。子どもだけでなく大人も努力することを楽しんでほしい。それは子どもたちのモデルともなりますから。成長する過程、努力する過程にこそ大きな喜びや感動があります。

 

子どもも大人も共に学ぶ『共育』を実践し、みんなが成長し、努力することを楽しみ、それぞれの幸せを自分の力でつかんでほしい。無限の可能性を秘めた子どもたちが、目的を見つけ、努力し、成長する環境を整えること。みどりの寺子屋の目標です。

 

 

                                

                                                                       みどりの寺子屋 代表 緑川 慎吾

 

 

 

 

 

緑川 慎吾(みどりかわ しんご)

 

清瀬市出身。日本大学経済学部卒業。中学校社会科・高等学校公民科教員免許取得。

 

スポーツインストラクター歴10年。競泳コーチ歴8年(全国大会5回出場)。清瀬市内小中学校、特別支援学級にて学級経営補助員・肢体不自由介助員・部活動外部指導員(ソフトボール・バレーボール)。家庭教師など。

 

現在、特別支援学級補助員、市内中学校でバレーボール部外部指導員としても勤務。